女性の脱毛症の原因は加齢による女性ホルモンの減少が大きいため、少し前まで“薄毛は40代以降から”と考えるのが一般的でした。
ところが最近、「若年性脱毛症」といって若い世代での脱毛に悩む人が目立ちはじめています。その原因はいったい何なのでしょうか?
実際に、私自身30代前半で薄毛と抜け毛に悩まされていたので他人事ではありません。
今回は20代、30代の方の薄毛のメカニズムや対策などを詳しくご紹介します。
若年性脱毛症とは?20代でも起こる?
若年性脱毛症とはホルモンの分泌が原因で起こる脱毛症状のことです。
別名FAGA(女性男性型脱毛症)と呼ばれ、主な原因がジヒドロテストステロン(男性ホルモン)の変化である男性に対し、女性は加齢や生活習慣の影響によるエストロゲン(女性ホルモン)の減少で発症します。
FAGAは患者に適切な治療を行うため発症する年齢で分類されており、10代~20代で発症する場合は「若年性脱毛症」、30代~50代で発症した場合を「壮年性脱毛症」と呼んでいます。名称が違うだけなので発症する原理や治療方法は同じです。
>>女性の男性型脱毛症(FAGA)とは?原因と対策を総まとめ!
若年性脱毛症が起こるメカニズム
毛髪は毛母細胞が刺激を受けて発毛する「成長期」、毛髪の成長が鈍くなる「退行期」、完全に髪の成長が止まる「休止期」という生まれ変わりのサイクルを繰り返しています。
髪の毛は頭皮全体で約14~15万本あるといわれており、そのうち約10~15%が常に休止期に入っています。毛髪の寿命は女性で4~6年程度、1本1本が独自のヘアサイクルで生え変わっているので、1日80~90本程度の抜け毛であれば問題ありません。
ところが、女性ホルモンの減少で頭皮環境が悪くなってしまうと、成長期のサイクルがぐっと短くなります。髪が十分に成長しないまま休止期に入ってしまうので、短く弱い毛髪しか育たず薄毛になってしまうのです。
10~20代のうちは女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が多いので、比較的FAGAが発症しにくい傾向にあるのですが、近年は生活習慣の欧米化やストレスなどで女性ホルモンのバランスを崩す方が多くなっています。
そのため、若い世代でも抜け毛や薄毛に悩む人が目立ちはじめているのが実情です。
若年性脱毛症の原因
女性の脱毛はホルモンの減少を主軸に、遺伝、生活習慣、環境の変化、ストレスなどさまざまな要因が絡み合って生じます。実際にどんな習慣を見直すべきなのかみていきましょう。
女性ホルモンの減少
女性ホルモンはヘアサイクルの正常な働きをサポートし、髪の成長と持続を助ける役割があります。女性ホルモンの分泌量は20代がピーク!
それ以降は徐々に下降しはじめるため、更年期の症状が出はじめる40代以降に抜け毛や薄毛がではじめます。
また、ホルモンの分泌はストレスや食事などにも大きく影響を受けるため、不規則な生活が原因でホルモンバランスを崩すケースも。
>>女性ホルモンの分泌量と毛髪の関係とは?抜け毛・薄毛のメカニズムを解説!
食事の偏り
過度なダイエットや不規則な食生活は、からだの栄養不足をまねきます。口から摂取した栄養は生命の維持に関わる器官に優先的送られるため、毛髪や爪への栄養配給は後回しです。
頭皮が栄養不足だと毛髪をつくる栄養が足りなくなるため、細く弱い髪しか育たなくなってしまいます。
毎日コンビニ弁当を食べている、ファーストフードが大好き!こんな方はちょっぴり注意が必要です。
ストレス
ストレスは血行不良を起こし、毛乳頭へのスムーズな栄養補給を妨げます。
自律神経のリズムも崩れるので、発毛に関わる女性ホルモンの分泌量にも影響が出て髪の毛が生えにくくなってしまいます。
「まじめで神経質」「気にしすぎる」こんな方は比較的ストレスが溜まりやすい傾向にあります。
>>女性のストレスからくる薄毛の原因とは?抜け毛のメカニズムと対策まとめ!
運動不足
運動不足などでからだの血流が滞ると、頭皮の血行も悪くなってしまいます。
毛髪をつくる栄養は血流にのって頭皮に届くため、血行不良は抜け毛、薄毛をまねきます。また頭皮の血行不良はそのまま肌のくすみの原因にもなりますので女性としてはぜひ解消しておきたいところです。
睡眠不足
睡眠中は成長ホルモンの働きによって細胞が成長、修復を行う時間です。
特に10時~2時はホルモンの分泌量が多くなるといわれています。夜にきちんと睡眠をとれていないと毛母細胞の修復が十分にされません。
発毛する力も弱まるため抜け毛や薄毛の症状が目立つようになります。
これらのストレス・睡眠不足・運動不足などは日ごろの生活習慣を改善すれば、抜け毛や薄毛の対策としてすぐに始められますね。
生活習慣と抜け毛・薄毛の関係については下記の記事で詳しくご紹介していますので参考にしてみてください。
>>【総まとめ】生活習慣による女性の薄毛!7つの原因と対処法
遺伝
若年性脱毛症の原因のひとつに遺伝もあげられます。
身内に若いときから薄毛になった人がいるようなら可能性がありますが、遺伝的要素をもっていたからといって必ずしも薄毛になるというわけではないので、あまり心配しなくてもいいでしょう。
クリニックで行われる治療
若年性脱毛症の治療を行える場所として、皮膚科、美容外科、薄毛専門クリニックなどがあげられます。薬剤で治療はほとんどがプロペシア、ミノキシジルが処方されます。
美容外科(薄毛専門外来)や薄毛専門のクリニックでは薬剤の注入や植毛なども可能ですが、一般病院である皮膚科では専門的な検査、治療はできません。
処方される薬剤の効果、治療方法などは下記のとおりです。
プロペシア
AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制する作用があります。
副作用リスクを避けるため、女性への投与は認められていません。また、妊娠中の女性については、男児の性欲器官への影響が考えられるため、フェナステリドに触れることも避けた方がいいとされています。
ミノキシジル
血管拡張作用があり、毛乳頭へのスムーズな栄養供給をサポートします。育毛効果の高い薬剤ですが高い分リスクもあります。
内服薬の場合はめまい、頭痛、動悸、むくみなど。外用薬ではかゆみ、フケ、かぶれなどの副作用が報告されています。また、副作用のおそれから授乳中、妊娠中の女性への投与は禁止されています。
薬剤注入
脱毛した部分に育毛効果のある薬剤を注入。浸透力を高めるため、超音波とレーザーを照射します。毛母細胞を活性化させ、発毛を促進させる効果があります。
HARG(ハーグ)療法
自身の肝細胞から発毛に効果があるとされる成長因子を抽出。
頭皮に注入することで毛母細胞を刺激し、成長期の育毛細胞を活性化させます。日本医療毛髪再生研究会の認証した医師のみ施術することができます。
参考:http://www.jp-harg.jp/
植毛
毛根を頭皮から毛包ごと採取し、脱毛した部分に移植します。
美容外科、薄毛専門クリニックは専門的な治療が受けられる分費用がかさみます。それにくらべ皮膚科は決まった薬しか処方されないので比較的安く治療が受けられるのが特徴です。
皮膚科だと1ヵ月平均して10000円~15000円程度、美容外科、薄毛専門クリニックでは15000円~30000円を目安に考え、自分の薄毛の症状や目的にあった期間を選択するといいでしょう。
ミノキシジルなどの薬剤には副作用のリスクも出てきますので、治療を受ける際には医師と十分に相談しましょう。
自分でも出来る!頭皮環境の改善策
生活習慣を見直し、頭皮環境を整えることで、若年性脱毛症の進行をくい止め育毛効果を高めることができます。
具体的に、自分で出来る対策方法をいくつかご紹介します。
血の巡りを改善する(血行促進)
適度な運動や入浴で全身の血行を高めましょう。朝晩のケアに頭皮マッサージを取り入れるのも効果的です。
頭皮全体を指の腹で包み、やさしくもみほぐしてあげましょう。
マッサージ前にはオイルや育毛剤を塗布して、摩擦によるダメージを防止するのがポイントです。
食事を見直す!
毛髪の生成には髪の毛の原料となるタンパク質の摂取が必要不可欠。豆類や肉、魚などをバランスよく食べて、まんべんなく摂取しましょう。
毛髪の成長を助けるビタミンB、血行促進作用のあるビタミンEも積極的に摂りたいところ。ケラチンの合成助ける亜鉛は、アルコールやストレスなどでも消費され、特に不足しがちな成分。
食事での摂取が難しいときにはサプリメントを治療するのもおすすめです。
>>女性の育毛に効果的な栄養とは?髪に良い成分とおすすめ食材を解説!
女性専用の育毛剤もおすすめ!
食事や生活習慣をいきなり見直すのは難しい……そんなときは育毛剤に頼るのもひとつの方法です。
血行促進作用のあるセンブリエキスやニンジンエキスなどが配合されたものを選べば、滞った頭皮の血流を高め、頭皮全体に栄養を送り届けることができます。
女性用育毛剤に含まれるのは、ほとんどが植物性なので副作用の心配もありません!ボタンエキス、ヒノキチオールといった抗菌、抗炎症作用のあるものを選べば、育毛ケアをしながら頭皮のかゆみやニキビを防止することができます。
おすすめの女性用育毛剤はどれ?
私が実際に試した5本の女性用育毛剤の特徴やおすすめ、使用感などをまとめた記事を書きましたので、女性用育毛剤を試してみたい方はまずこの記事をチェックしてください!
ヘアスタイルを工夫してポジティブに!
女性にとって薄毛の悩みは深刻で、髪のせいで外に出るのが億劫なり、人とあるのが嫌になってしまうケースもあります。
例え治療中であってもきれいでありたいのが女心。そんなときはヘアスタイルをちょっとアレンジして、脱毛部分をカバーしてしまいましょう!
髪型はロングヘアよりもトレンドのボブスタイルがおすすめ。頭頂部、側面をふんわり巻いてボリュームを出せば可愛らしい雰囲気になり小顔効果も抜群です。
生え際が気になる人は前髪を内側に巻き、ふんわり横に流して再度にヘアピンをつけて固定すればOK。
思い切って前髪を短くしてしまうのも顔が明るくなっていいかもしれませんね。
また、髪にハリがないときは育毛剤で頭皮マッサージを続けることで髪が立ち上がりやすくなりますよ!
まとめ
若年性脱毛症は早めの対策が大切!
若年性脱毛症は進行性です。放置しておくと抜け毛や薄毛の症状が進んでしまうので早めの対策が必要です。
生活習慣などを見直し頭皮環境を正常な状態へ近づけていきましょう。一番大切なのはストレスを溜めないこと!
徹底的な食事管理や、過度な追い込みはストレスのもとになります。時間のないときは育毛剤やサプリメントの力をかりつつ、無理のない範囲で育毛ケアを行いましょう。